魔法のマーメイドクラブ

 コンコンとドアをノックして、波木さんが部屋へ入ってくる。

「それと、永遠のお別れじゃないわ。一時的に、帰らなきゃならないだけ。また遊びに来たらいいわよ」

 美波ちゃんのことは、任せて。波木さんの言葉に、アクアちゃんは少しホッとしていた。
 わたしは、ランドセルからポーチを取り出して、水色のヘアゴムを差し出す。

「わたしたちチームアクアのこと、忘れないでね。絶対だよ」

 人魚の絵がついている。わたしが描いて、レジンで作った世界にひとつだけしかないヘアゴム。
 絵にキスをして嬉しそうに笑うと、アクアちゃんは長い髪をヘアゴムでひとつにまとめる。

 それから、わたしの首をじっと見て、リュックのポケットからなにかを取り出した。

「コレ、カナトに渡してくれるカナ? アクアからって、言わなくてイイヨ」

 開いた手のひらには、貝殻のついたブレスレットがあった。プールサイドの砂浜で見つけたものと、同じ色で同じ形だ。
 もしかしたら、アクアちゃんの見つけた運命の人って。

「アクアの運命の人はネ、ミイちゃんだったんだヨ」
「わ……たし?」

 予想外すぎて、目が飛び出そう。てっきり、カナトくんだとばかり思っていた。

「ずっと探してた、運命のコ。アクアの、命の恩人!」
「えっ、えっ? ど、どうゆうこと? そのあたり、もっとくわしく……!」
「おおー、もうこんな時間ダ! また今度ゆっくり話すネ! 魔法も、ミイちゃんの呪いのコトも、もっと勉強してくるヨ!」

 すり抜けるように、アクアちゃんはバイバイと手をふった。
 あいかわらずのマイペースに、フフッと笑顔がこぼれる。

「そのときは、チームアクアの再結成だね!」

 手を握り合わせて、おでこをくっつけた。
 わたしたちは、離れていてもずっと一緒。ずっと、心は繋がっている。

 また、会える日までーー。
 

                 fin.