魔法のマーメイドクラブ

 お母さんと妹のカンちゃんにないしょで、わたしは庭を離れた。
 少し先の曲がり角。行き止まりの古い洋館の前で、クリオネは消えた。
 まわりを見渡すけど、いない。
 どこへ行っちゃったんだろう?

「アッレー? ミイちゃん!」

 いきなり名前を呼ばれて驚いた。
 すぐうしろに、お姫様みたいな女の子が立っている。ハチミツ色の髪がふわふわした子。

「アクア……ちゃん?」

 ニコッと笑っているのは、五年三組へやってきた海屋敷アクアちゃんだった。
 ラメ入りの水色ノースリーブに、白いショートパンツ。とっても手足が長くて、まぶしい。

「奇遇ダネ〜。ミイちゃんの家、このへんなの?」
「うん、すぐそこだよ」

 来た道を指さして、ドキドキしている胸を押さえた。
 わたしの名前、知っててくれたんだ。あだ名までつけてくれている。それだけで嬉しくて、舞い上がっちゃいそう。

「ちっかーい! アクア、ここのおばさん家でお世話になってるの」

 大きな洋館の前で、なぜかエッヘンとドヤ顔をするアクアちゃん。

波木(なみき)さん? えっ、アクアちゃん、波木さんの知り合いだったんだね!」

 四十代くらいの優しいおばさんで、いつも派手な服を着ている。
 あいさつしたり、たまに学校帰りに会うと立ち話したり。

 まさか、アクアちゃんのホームステイ先が波木さんのところだったなんて、びっくり。
 こんなにご近所なら、一緒に帰ろうって誘ってもいいかな?