「守ってくれようとしたんでしょ? わたしたちのテントが、ノラ犬に壊されそうになったから」
大きな犬が走り回って、テントにかみついていた。枝を持ったりっちゃんが、おびえながら必死に追い払おうとしていたの。
「なんで、そのこと……」
きつねにつままれた顔をしている。びっくりしすぎて、口が空いたまま。数秒間、りっちゃんは止まっていた。
「知り合いが、見てたみたいなんだ」
あたりさわりのない言い方をする。
まさか、テントの記憶を見たとは、話せないから。
「ほんとのこと言ったって、誰も信じてくれないじゃん。私嘘つきだし。それに、ミイちゃんのためじゃない。叶斗くんのためにやったんだよ」
ミイちゃんって、久しぶりにあだ名で呼んでくれた。
三年生のとき以来、もう二年は他人行儀だったから。なんだか不思議だ。胸の奥がジーンとして、懐かしくなる。
カウンター前に置いてある【図書委員オススメ】の本を取って、りっちゃんへ渡した。
「……ありがとう。今回のことは、アクアちゃんもカナトくんも、そう思ってるよ。あと、これ借りたいから、お願い……」
「ミイちゃんって、仲間はずれにされてるリムがかわいそうだから話しかけてくるんでしょ?」
ピクピクと、りっちゃんの口元が動く。
「優しい自分が可愛いだけじゃん」
肩がビクッとする。
違うのに。一人ぼっちの気持ちがわかるから、ほっとけなかった。
「そんなつもりじゃ……」
大きな犬が走り回って、テントにかみついていた。枝を持ったりっちゃんが、おびえながら必死に追い払おうとしていたの。
「なんで、そのこと……」
きつねにつままれた顔をしている。びっくりしすぎて、口が空いたまま。数秒間、りっちゃんは止まっていた。
「知り合いが、見てたみたいなんだ」
あたりさわりのない言い方をする。
まさか、テントの記憶を見たとは、話せないから。
「ほんとのこと言ったって、誰も信じてくれないじゃん。私嘘つきだし。それに、ミイちゃんのためじゃない。叶斗くんのためにやったんだよ」
ミイちゃんって、久しぶりにあだ名で呼んでくれた。
三年生のとき以来、もう二年は他人行儀だったから。なんだか不思議だ。胸の奥がジーンとして、懐かしくなる。
カウンター前に置いてある【図書委員オススメ】の本を取って、りっちゃんへ渡した。
「……ありがとう。今回のことは、アクアちゃんもカナトくんも、そう思ってるよ。あと、これ借りたいから、お願い……」
「ミイちゃんって、仲間はずれにされてるリムがかわいそうだから話しかけてくるんでしょ?」
ピクピクと、りっちゃんの口元が動く。
「優しい自分が可愛いだけじゃん」
肩がビクッとする。
違うのに。一人ぼっちの気持ちがわかるから、ほっとけなかった。
「そんなつもりじゃ……」



