魔法のマーメイドクラブ

 数日後。わたしは、夏休みの学校へ行った。図書委員の当番で、りっちゃんがいることを知っていたから。
 深呼吸をして、静かなドアを開ける。すぐに、カウンターに座るりっちゃんを見つけた。
 下を向いて、何かを書いている。わたしには、気づいていない。

 ちゃんと、思っていることを話せるかな。カナトくんやアクアちゃんに、ついてきてもらえばよかったかな。
 ブルブルと首をふって、よし、と心に決める。


「りっちゃん」

 まだ誰もいないことを確認して、声をかけた。
 初めは驚いた顔をしていたけど、りっちゃんはすぐに目をそらして、いつも通りになる。

「本借りるなら、早く選んでよ。いちいち話しかけてくれなくていいし」

 わざとらしくため息をついて、図書委員の仕事をやり出した。
 わたしと、話したくないらしい。
 でも、今日ははっきりさせるために来たの。

「りっちゃん……嘘、ついてるよね。秘密基地の……こと」
「なに、いまさら」
「どうして、本当のこと……言ってくれなかったの? あの日、行ったんだよね? 前から、わたしたちの後つけて、知ってたんだよね?」

 震えながら、ゆっくり聞く。怖くて、ドキドキして、今にも逃げ出したいけど。

「だから、知らないって」

 めんどくさそうに返ってくる。わたし、見ちゃったから。