魔法のマーメイドクラブ

「あ、そのこと……なんだけど……」
「俺、四番手だったから……見れてないけど……」

 またかぶって、二人とも語尾が消えていく。
 すごいタイミング。
 まわりの人たちが、通りぎわに、わたしたちを見ている。学校ではあまり話さない二人だから、物珍しそうに。

「ごめん、どうした?」

「ううん、なんでもない」

 カナトくんになら、本当のことを言えるはずなのにできない。
 自分のことのように喜んでくれた笑顔が、まぶしすぎて。わたしは、ズルい心に負けてしまった。

「帰ったら、チームアクアで【おめでとう会】しないとな。願いごと、叶ったし」

 胸の奥を引っかかれたみたいに、ズキッとなる。

 嘘をつくって、秘密にするとは違う痛みがあるんだーー。