旅館での夕食が終わって、それぞれが部屋へ戻っていく。
あれから、誰にも本当のことを打ち明けられないまま。先生たちにまで褒められて、言い出せる状況じゃなかった。
海から戻って、アクアちゃんはずっと部屋で寝込んでいる。わたしを助けたから、疲れちゃったのかもしれない。
ロビーの前を歩いていると、一人で立っていたりっちゃんと目が合った。
思わずそらしちゃったけど、感じ悪かったかな。
そっと近寄ってきて、じっと顔を見られた。
「美波ちゃんさぁ」
「う、うん」
「……まあ、いいや」
なにか言いたそうだったけど、りっちゃんは無表情のまま去って行った。
りっちゃんから話しかけてくれるなんて、めずらしい。なんだったんだろう。
前を向き直って進もうとしたら、誰かとぶつかった。ちゃんと見ていなかったから。
「ご、ごめんなさ……」
小さく謝った言葉に、「ミイ?」と名前を呼ぶ声が乗っかった。
「カナトくん!」
そこの自販機で、飲み物でも買っていたのかな。カナトくんは一人だ。
カナトくんが、クラスの子とつるんでいる印象はない。近付きづらいオーラがあるのか、どこの男子グループにも入っていないの。
みんなと話してはいるから、わたしと一緒にしたら申し訳ないんだけど。
そういえば、わたしが一着でバトンをつないだこと、カナトくんの耳にも入っているかもしれない。
「あ、あのね……」
「ミイ、すごかったらしいな!」
同時だったから、一瞬何を言われたかわからなかった。
ワンテンポ遅れて、水泳競争のことだと気づく。
あれから、誰にも本当のことを打ち明けられないまま。先生たちにまで褒められて、言い出せる状況じゃなかった。
海から戻って、アクアちゃんはずっと部屋で寝込んでいる。わたしを助けたから、疲れちゃったのかもしれない。
ロビーの前を歩いていると、一人で立っていたりっちゃんと目が合った。
思わずそらしちゃったけど、感じ悪かったかな。
そっと近寄ってきて、じっと顔を見られた。
「美波ちゃんさぁ」
「う、うん」
「……まあ、いいや」
なにか言いたそうだったけど、りっちゃんは無表情のまま去って行った。
りっちゃんから話しかけてくれるなんて、めずらしい。なんだったんだろう。
前を向き直って進もうとしたら、誰かとぶつかった。ちゃんと見ていなかったから。
「ご、ごめんなさ……」
小さく謝った言葉に、「ミイ?」と名前を呼ぶ声が乗っかった。
「カナトくん!」
そこの自販機で、飲み物でも買っていたのかな。カナトくんは一人だ。
カナトくんが、クラスの子とつるんでいる印象はない。近付きづらいオーラがあるのか、どこの男子グループにも入っていないの。
みんなと話してはいるから、わたしと一緒にしたら申し訳ないんだけど。
そういえば、わたしが一着でバトンをつないだこと、カナトくんの耳にも入っているかもしれない。
「あ、あのね……」
「ミイ、すごかったらしいな!」
同時だったから、一瞬何を言われたかわからなかった。
ワンテンポ遅れて、水泳競争のことだと気づく。



