魔法のマーメイドクラブ

「ゲーッ! サイアク! 俺、センセーの目の前じゃん」
「ウチ、五番だったよ。やった、今度は近いね!」

 四角い箱の中から紙を選んで、それぞれが黒板の数字を確認する。
 五年生になって、初めての席替え。先生がランダムに書いた番号に、一喜一憂するクラスメイトたち。
 ギーギーと机を動かす音が響く中、わたしは緊張しながら紙を開いた。

 十三番。今の席から、ひとつ左へずれるだけ。
 となりの二十番は、誰だろう。クラスの子とはあまり話さないから、誰でも変わらないんだけど。
 もしも、神様がいるなら……。


「ラッキー! アクアちゃんのとなりだ」

 廊下側から、りっちゃんの声がした。そのとなりに、ちょこんと座っているアクアちゃんが見える。

「あいさつの時から、ずっと可愛いーって思ってたんだ! アクアちゃんと仲良くなりたいって」

 目をキラキラさせながら、りっちゃんが声を弾ませている。
 他にもなにか話しているようだけど、移動するクラスメイトに隠れちゃった。
 この前は、あれほど悪口を言っていたのに。りっちゃんの変わりようにモヤっとしつつ、イスに座る。
 ……いいなぁ。アクアちゃんのとなり。

 がっかりしていると、目の先にガタンと机が置かれた。
 顔を上げて、ドキッとする。
 チラッと目があったのが、霧谷くんだったから。

「……花池さんか。よかった」

 ボソッと聞こえた言葉に、頭がパニックになる。
 よかったって、どうゆう意味だろう?
 きっと、深い理由なんてないよ。
 大人しくて、話さなくても平気な人だってことだよね。

 ぐるぐると考えながら、もう一度横に視線を送る。
 となりの席になれるなんて、思わなかった。話せるパワーを与えられたわけじゃないから、なにも変わらないんだけど。
 運の神様は、ほんとにいるみたい。