高校一年の春。
新しい制服の袖を、
まだ少し不器用に通していた季節。
校舎に差し込む光はやわらかくて、
でも心の中にはまだ、冬の名残が残っていた。
当時、
私は大好きだった人との別れを引きずって
毎日が退屈で、少し色あせて見えていた。
そんなときだった。
「元気ないね。」
そう声をかけてくれたのが、彼だった。
整った顔立ちに不良っぽい雰囲気。
どこか危うくて
でも、目だけはまっすぐな人だった。
そんな彼と連絡先を交換して
最初は他愛のないやり取りばかりだったけれど
それがいつの間にか
わたしの中で当たり前の日常になっていた。
「今、何してるの?」
「会いたい」
夜遅くに届くそんな一言が、心をくすぐった。
その気持ちだけで十分だった。
恋をするのが
また少し怖くなっていたわたしにとって
彼の存在は、最初からどこか
“救い”みたいに思えてしまった。
放課後は毎日のように彼に会うようになった。
自転車の後ろに乗って
風を切る感覚が好きだった。
コンビニで買ったジュースを分け合ったり、
誰もいない夜の公園で話したり。
ひとつひとつが
映画のワンシーンみたいだった。
気づけば、自然な流れで
「付き合おうか」という言葉が交わされ、
私たちは恋人同士になった。
彼の隣にいるだけで、強くなれた気がした。
何もかもが新鮮で、刺激的で。
彼が私の世界を変えてくれた。
だけど、
わたしはまだ知らなかった。
そのやさしさの裏に、
どこか“危うさ”が潜んでいることを――。
それが恋の罠だと気づくには、
もう少し時間が必要だった。
新しい制服の袖を、
まだ少し不器用に通していた季節。
校舎に差し込む光はやわらかくて、
でも心の中にはまだ、冬の名残が残っていた。
当時、
私は大好きだった人との別れを引きずって
毎日が退屈で、少し色あせて見えていた。
そんなときだった。
「元気ないね。」
そう声をかけてくれたのが、彼だった。
整った顔立ちに不良っぽい雰囲気。
どこか危うくて
でも、目だけはまっすぐな人だった。
そんな彼と連絡先を交換して
最初は他愛のないやり取りばかりだったけれど
それがいつの間にか
わたしの中で当たり前の日常になっていた。
「今、何してるの?」
「会いたい」
夜遅くに届くそんな一言が、心をくすぐった。
その気持ちだけで十分だった。
恋をするのが
また少し怖くなっていたわたしにとって
彼の存在は、最初からどこか
“救い”みたいに思えてしまった。
放課後は毎日のように彼に会うようになった。
自転車の後ろに乗って
風を切る感覚が好きだった。
コンビニで買ったジュースを分け合ったり、
誰もいない夜の公園で話したり。
ひとつひとつが
映画のワンシーンみたいだった。
気づけば、自然な流れで
「付き合おうか」という言葉が交わされ、
私たちは恋人同士になった。
彼の隣にいるだけで、強くなれた気がした。
何もかもが新鮮で、刺激的で。
彼が私の世界を変えてくれた。
だけど、
わたしはまだ知らなかった。
そのやさしさの裏に、
どこか“危うさ”が潜んでいることを――。
それが恋の罠だと気づくには、
もう少し時間が必要だった。