夢嘘―壊れた私が、やっと愛されたはなし。

誰にも言えなかったことがある。

泣きたかった夜も、
誰かに抱きしめて欲しかった朝も。

泣いても泣いても朝が来て、
眠れぬまま、
まぶしい陽に目を細めた夜明けも。

私が見せていた笑顔の裏には、
誰にも見せられない
“ほんとうの私”がいた。

本当は、ただ誰かに気づいてほしかった。
でも、気づかれたら壊れてしまいそうで。

「元気だよ。」
「大丈夫。」
「もう、とっくに忘れた。」

そんな言葉ばかり重ねて、
口にするたび、胸の奥がきゅっと痛んだ。
でも誰かに弱った心を見透かされたくなくて。
ただ、強くなりたくて。

強がることが、強さだと信じていた。
ひとりで立つことが、
大人になることだと思っていた。

でも本当は、弱さに寄りかかりたかった。
触れたら壊れそうな心を、
そっと包んでくれる人に、出逢いたかった。

これは恋に傷つき、
恋に救われたひとりの女の子の
静かに、でも確かに光へと歩いていった物語。