泣き崩れた私を支えてくれた斗真先輩の言葉が
今も胸の中に残ってる
──全部、一人で背負わなくていい
その言葉があったから
私は少しずつ立ち直ることができた
いや──立ち直った”フリ”ができた
カフェで、瑠奈とお喋りをしている
「最近、理玖ほんと忙しそう」
私がさりげなく切り出す
「うん、なんかバイトもヘルプばっかりで理玖の方も全然会えないって言ってたよ」
瑠奈は笑顔で答える
──バイトね
「紗奈も寂しくなっちゃうでしょ?」
「まあね。仕方ないけど、ちょっとね」
私は笑い返す
本当はもう、その言葉に何の感情も乗っていない
その週の金曜、理玖にLINEを送った
『明日空いてる?会えそう?』
──既読
『ごめん💦バイトのシフト追加入ってて…本当ごめん!』
──また、バイト
でも
私はそこには行かなかった
代わりに
斗真先輩が動いてくれていた
ラブホテルの裏通り
車の陰に隠れてカメラを構える斗真先輩
理玖と瑠奈が
寄り添いながら出てくる姿を
しっかり写真に収めた
数日後、斗真先輩とデータ整理をしている
「LINEも抜けたぞ」
斗真先輩が冷静に言った
そこには
理玖と瑠奈の甘ったるいメッセージが並んでいた
──『早く会いたい』
──『次はいつ泊まれる?』
──『今日のキス、ずっと忘れられない…♡』
私は画面をじっと見つめる
「…ほんっと…最低」
でも
もう怒りは湧かない
ただただ
静かに終わらせたいだけだった
作業が終わった帰り道──
「…寒いな」
斗真先輩がポケットに手を突っ込みながら言った
「冬ってなんだか嫌いです」
「理由は?」
「……寒いのと…なんだかひとりぼっちみたいで嫌なんです」
斗真先輩が小さく息を吐いて笑った
「お前ほんと強がりだよな」
そう言って
私の頭をそっと撫でた
「…今は俺が隣にいるから」
その言葉に
胸が少しだけ熱くなった
「……先輩」
「ん?」
「もし……もし全部終わったら……」
私は一瞬迷って
でも、小さな声で続けた
「…その時は…先輩に甘えてもいいですか?」
斗真先輩は、柔らかく笑った
「何度でも甘えろよ。お前が望むなら、いつだって」
その優しさが
胸にじんわり広がった
──この時だった
私の中で少しだけ
“守られたい”という気持ちが生まれたのは
でも今は──
まだ、もう少しだけ泳がせる
今も胸の中に残ってる
──全部、一人で背負わなくていい
その言葉があったから
私は少しずつ立ち直ることができた
いや──立ち直った”フリ”ができた
カフェで、瑠奈とお喋りをしている
「最近、理玖ほんと忙しそう」
私がさりげなく切り出す
「うん、なんかバイトもヘルプばっかりで理玖の方も全然会えないって言ってたよ」
瑠奈は笑顔で答える
──バイトね
「紗奈も寂しくなっちゃうでしょ?」
「まあね。仕方ないけど、ちょっとね」
私は笑い返す
本当はもう、その言葉に何の感情も乗っていない
その週の金曜、理玖にLINEを送った
『明日空いてる?会えそう?』
──既読
『ごめん💦バイトのシフト追加入ってて…本当ごめん!』
──また、バイト
でも
私はそこには行かなかった
代わりに
斗真先輩が動いてくれていた
ラブホテルの裏通り
車の陰に隠れてカメラを構える斗真先輩
理玖と瑠奈が
寄り添いながら出てくる姿を
しっかり写真に収めた
数日後、斗真先輩とデータ整理をしている
「LINEも抜けたぞ」
斗真先輩が冷静に言った
そこには
理玖と瑠奈の甘ったるいメッセージが並んでいた
──『早く会いたい』
──『次はいつ泊まれる?』
──『今日のキス、ずっと忘れられない…♡』
私は画面をじっと見つめる
「…ほんっと…最低」
でも
もう怒りは湧かない
ただただ
静かに終わらせたいだけだった
作業が終わった帰り道──
「…寒いな」
斗真先輩がポケットに手を突っ込みながら言った
「冬ってなんだか嫌いです」
「理由は?」
「……寒いのと…なんだかひとりぼっちみたいで嫌なんです」
斗真先輩が小さく息を吐いて笑った
「お前ほんと強がりだよな」
そう言って
私の頭をそっと撫でた
「…今は俺が隣にいるから」
その言葉に
胸が少しだけ熱くなった
「……先輩」
「ん?」
「もし……もし全部終わったら……」
私は一瞬迷って
でも、小さな声で続けた
「…その時は…先輩に甘えてもいいですか?」
斗真先輩は、柔らかく笑った
「何度でも甘えろよ。お前が望むなら、いつだって」
その優しさが
胸にじんわり広がった
──この時だった
私の中で少しだけ
“守られたい”という気持ちが生まれたのは
でも今は──
まだ、もう少しだけ泳がせる



