あの夜から数日が経った
理玖と瑠奈は
あっという間に噂の中心になった
学内でもSNSでも
ふたりは裏切り者として叩かれ続けていた
理玖は友人たちからも距離を置かれ
瑠奈も誰も近寄ってこなくなった
けれど──
私は、もう何も感じなかった
怒りも
悲しみも
悔しさも
全部、置いてきた
「……よく、やりきったな」
斗真先輩の声が静かに響く
私たちは夜の河川敷にいた
ひんやりとした風が吹き抜ける
「…終わった実感、まだないです」
「そりゃそうだよな」
斗真先輩はゆっくり私の隣に座った
「でも…今は、すごく楽になったんです」
「そっか」
しばらく、ふたりで黙って夜空を眺めた
星が綺麗に瞬いている
「紗奈」
斗真先輩が小さく私の名を呼ぶ
「これからはさ──もう強がらなくていいんだぞ」
私は少しだけ顔を伏せて笑った
「……私、強がってました?」
「バレバレ」
斗真先輩は優しく笑って
そっと私の髪に触れた
「もう、頑張らなくていい」
あの日からずっと
張り詰めていたものが
ゆっくりとほどけていく
私は
斗真先輩の胸に小さく身体を寄せた
「…先輩の隣、あったかいです」
斗真先輩の腕が
優しく私を抱き寄せる
「お前の居場所、ここにもあるから」
その言葉に
また少し、涙が滲んだ
でも今度は──
あの日流した涙とは
全然違う涙だった
私はやっと
本当に愛せる人の隣に辿り着いた
──私の新しい物語が
今、やっと始まった
理玖と瑠奈は
あっという間に噂の中心になった
学内でもSNSでも
ふたりは裏切り者として叩かれ続けていた
理玖は友人たちからも距離を置かれ
瑠奈も誰も近寄ってこなくなった
けれど──
私は、もう何も感じなかった
怒りも
悲しみも
悔しさも
全部、置いてきた
「……よく、やりきったな」
斗真先輩の声が静かに響く
私たちは夜の河川敷にいた
ひんやりとした風が吹き抜ける
「…終わった実感、まだないです」
「そりゃそうだよな」
斗真先輩はゆっくり私の隣に座った
「でも…今は、すごく楽になったんです」
「そっか」
しばらく、ふたりで黙って夜空を眺めた
星が綺麗に瞬いている
「紗奈」
斗真先輩が小さく私の名を呼ぶ
「これからはさ──もう強がらなくていいんだぞ」
私は少しだけ顔を伏せて笑った
「……私、強がってました?」
「バレバレ」
斗真先輩は優しく笑って
そっと私の髪に触れた
「もう、頑張らなくていい」
あの日からずっと
張り詰めていたものが
ゆっくりとほどけていく
私は
斗真先輩の胸に小さく身体を寄せた
「…先輩の隣、あったかいです」
斗真先輩の腕が
優しく私を抱き寄せる
「お前の居場所、ここにもあるから」
その言葉に
また少し、涙が滲んだ
でも今度は──
あの日流した涙とは
全然違う涙だった
私はやっと
本当に愛せる人の隣に辿り着いた
──私の新しい物語が
今、やっと始まった



