なに…これ…
理玖のスマホの画面に浮かぶメッセージ
「今日も楽しかったぁ。理玖、大好き♡」
──成宮 瑠奈
それを見下ろしながら
私は静かに画面をロックした
ほんの少し前まで
私は幸せだった
理玖は優しかった
どんな時でも私を最優先にしてくれてた
「今日は紗奈の好きなカフェ予約したよ」
「明日バイトないなら泊まっていけば?」
「…おいで、抱きしめたい」
理玖の腕の中はいつもあたたかかった
あの夜も
私の髪を優しく撫でながら
何度も優しいキスをくれた
「…好きだよ紗奈。お前だけ」
「私も…好き…」
その言葉が
あんなにも簡単に
裏切られるなんて
最初は小さな違和感だった
理玖の家のWi-Fiに
──瑠奈のスマホが自動で繋がっていた日
「
──あの日から
私は”観察する側”にまわった
理玖も
瑠奈も
まだ私を騙せてるつもりなんだろう
でもね
私は全部知ってるの
証拠も──もう十分
「ねえ理玖、今度の土曜、予定空けといてね」
「え?なんかあるの?」
「ちょっとサプライズしたくて…」
微笑み返す私の中で
もう一人の私が冷たく笑ってた
──楽しみだね
終わりの日はすぐそこだよ



