翌日の昼休み。
教室に入ると、すぐに由梨と沙耶がこっちを見てニヤニヤしてきた。
「七星〜!」
「な、なに?」
「昨日さ、また送迎だったんでしょ?」
「……うん」
私が認めると、二人はすぐさま顔を見合わせて笑い出した。
「もうさ、それ完全に彼氏じゃん」
「違うし!!!」
「いやいやいやいや、もう態度が完全にアウトなんだって!」
「アウトじゃないってば!」
私は思わずお弁当箱を持ったまま変な声が出そうになる。
顔がどんどん熱くなるのが自分でも分かった。
「で?昨日は何話したの?絶対なんか言われたでしょ?」
「……べ、別に…」
「ほら〜出た!その“別に”はだいたいヤバいやつ!」
「だからほんとに違うってば!」
私が必死に否定してる間も
二人はもう完全にニヤニヤが止まらない。
沙耶がわざとらしく腕を組んで真面目な声を出す。
「七星さん、もう認めちゃいなよ?絶対好きでしょ?」
「ちがうの!!」
「…じゃあ、聞くけどさ」
由梨がじっと私を見つめた。
「もしさ…明日からもう会えなくなるって言われたらどう思う?」
「え…」
その一言に思わず言葉が詰まる。
もし――もう会えなくなる?
考えた瞬間、胸の奥がギュッと締め付けられる感覚が走った。
「……や、やだ…かも」
二人はすぐさま
「ほらね〜〜!!!」
「もう好きってことで決定!!」
「ちが…違…!!」
否定しようとしても、顔の熱さは誤魔化せなくなっていた。
(……ほんとに、これ…やばいな)
(これ…完全に……)
自分でも
とうとう少しずつ認め始めてしまっていた。



