付き合ってちょっと経った頃
最近は学校でも周りにバレ始めて
友達も何かと茶化してくる
そんな中
今日の放課後も一緒に帰ってた
「…怜、あのさ」
美奈がふと口を開いた
「最近、あんまりLINEとか返してくれなくない?」
「いや、返してるつもりだけど」
「前より遅いじゃん。前はすぐ返してくれてたのに」
俺は思わずため息ついた
「別に返せる時返してんだろ
そんな毎回すぐ返せるわけじゃねぇし」
「…でも、ちょっとは気にしてよ」
「…気にしてるだろ普通に」
微妙な空気が流れる
たぶん
本当は大したことじゃねぇんだ
でも、付き合いたてでまだお互い慣れてなくて
不安になって
余計にぶつかりやすくなってた
「…美奈だってさ」
「ん?」
「最近、友達とばっかつるんでるだろ」
「は?何それ。普通じゃん」
「…別にいいけど」
「よくないから言ったんでしょ」
お互い、少しずつ語気が強くなってた
「…怜、最近ちょっと冷たくない?」
「お前こそ すぐ不安になりすぎなんだよ」
「だって…!まだ不安になるに決まってんじゃん…!」
美奈の声が震えた
俺も思わず言葉を詰まらせた
「…悪かったよ」
「…」
「俺も不安なんだよ けど…お互いちょっと焦りすぎてんだろ」
美奈がゆっくり顔を伏せた
「……好きだから、不安になるんだよ」
その一言に
胸が締め付けられた
「ばーか…俺もだよ」
俺はそっと美奈の手を握った
「…だからさ」
「もう、無駄に喧嘩すんのやめね?」
「……うん」
美奈が小さく笑ってくれた瞬間
ホッと胸を撫で下ろした
まだまだぎこちない
けど
これがたぶん
“付き合いたての喧嘩”なんだろうなって思った



