たとえ忘れられていても楓は嬉しかった。
もう一度あっくんに会いたいという楓の望みがかなったのだ。
楓にとっては大切な思い出と恐らく初恋だったと思うあっくん。
会えたことだけで十分幸せだ。
想像していた以上に素敵な大人の男性になっていた。
自然と口角が緩んでしまう。
その日のお昼休み。
楓が昼食を買いに行こうと会社を出ると、後ろから若い女性が声を掛けた。
「お姉様、お久しぶりです。」
楓は驚いて振り返るとそこに居たのは妹の純玲だった。
純玲は大学卒業後に化粧品会社に就職している。
もともと美人である純玲はメイクアップでさらに洗練された女性になった。
横を通る男性達は皆、純玲の方を振り返って見ているようだ。
純玲と会うのはもう何年ぶりだろう。
楓は就職してからほとんど実家に帰っていない。
「純玲ちゃん、どうしたの?」
純玲は母親と同様に楓を嫌っていた。
その純玲が訪ねて来るなんて何があったのだろうか。
すると純玲は微笑んで楓に近づいて来た。



