ここは海の見える教会。
ステンドグラスの教会の中は優しい光が差し込んでいる。
ここで今日あっくんと楓の結婚式が行われる。
今日はあっくんの家族と会社の人や友人など沢山の人がお祝いに駆けつけてくれた。
ただ残念なのは、楓の家族のことだ。
この結婚にまだ納得していない継母と純玲が反対して式への参加はしないと言ってきたのだ。
楓は分かっていたことだが、せめて父親には自分の姿をみせたかった。
式が始まりバージンロードを楓の父親の代わりに、あっくんのお父さんが引き受けることになっていた。
教会のドアの前で待っている楓。
するとそこに現れたのは楓の父親だ。
楓はその姿を見るなり瞳から涙が溢れだしていた。
「楓、今日の主役の花嫁が泣いていたらだめだよ。さぁお父さんと歩いてくれるかい?」
楓は声を出すことも出来ず、コクコクと大きく頷くのだった。
バージンロードを父と一緒に歩く楓。
祭壇の前で待つあっくんも微笑んで見守ってくれている。
誓いの言葉も口づけも終えた時、あっくんが楓の耳元で囁いた。
「俺の言った小さい頃の約束をおぼえているかい?」
「うん、大きくなったらあっくんのお嫁さんにしてくれる約束。」
「その約束も今日守れたな…今度はお互い爺ちゃん婆ちゃんになっても楓を愛し続けると約束するよ。」
「うん、絶対守ってね。」
楓は遠い昔を思い出していた。
篤志は楓の頭を優しく撫でながら笑顔を向けてくれた。
楓は篤志が頭を撫でてポンポンとしてくれることが大好きだった。



