これはどういうことなのだろう。
なぜ純玲は自分の会社の代表を動かすことが出来たのだろうか。
純玲はこんな手を使ってでもあっくんと結婚したいのだろうか。
十条専務が声をあげた。
「分かりました。」
「それはよかった。わかってもらえたのですね。」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる国光氏は勝ち誇ったような表情だ。
「御社とのお取引は今後すべて無かったことにしましょう。」
「なんだって!自分が何を言っているのかわかっているのか…十条不動産は傾くほどの損失だぞ!」
十条専務は国光氏を睨みつけるような鋭い視線を向けた。
「私達の会社はそんなことで傾くことはありません。それよりも今日のこの会話は録音してあります。これをメディアやマスコミに持って行ったら大きな騒ぎになるでしょうね。」
「なんだって!この若造がいい気になりやがって。」
「それがあなたの本音ですね。国光さん。」
「クソっ…」
国光氏はその場で立ちあがった。
すると純玲は国光氏の腕を掴んだ。
「何を負けているのですか社長。このままでは社長の不正やセクハラを訴えますよ!」
「うるさい!!もとはと言えばお前がこんな取引を持ち掛けるからいけないんだ。もうどうでも良い…俺は帰る。」
十条専務は笑顔で秘書に声を掛けた。
「お客様がお帰りのようです。お送りしてください。」



