楓はあっくんの家に上がり部屋を見回した。
綺麗に整頓されたリビングから延びる廊下。
そこにはいくつかの扉があり部屋が並んでいるようだ。
「家の中は実家の使用人が定期的に来てくれて掃除はしてくれているが、男の一人暮らしだからあまり見ないでくれ。」
「あっくん、すごく綺麗です。私なんかが使わせてもらって良いのかと思ってしまいます。」
「自分の家だと思って気楽にしてくれ。それじゃあ、楓はリビングに一番近い部屋を使ってくれ。そこは客間になっているからベッドもすべて揃っているはずだ。」
あっくんに案内されて部屋のドアを開けると、そこは淡い茶で統一されたベッドやテーブルが置いてあった。
「部屋の中にもシャワー室と洗面はあるけれど、この家の風呂はわりと広いからそっちを使ってくれ。俺の部屋は楓の隣だから何かあればすぐに呼んでくれ。」
部屋をひととおり案内してくれたあっくんは最後に部屋でゆっくり休むよう言ってくれた。
確かに楓はいろいろな事がここ数日に起こりかなり疲れていた。
楓は部屋にひとり戻ると、ベッドにポスっと勢いよく寝転んだ。
ベッドはふかふかであり、とても心地よい。
ちょっと横になるつもりが、楓はそのまま眠ってしまった。



