十条専務が去った後、部署の皆が楓に近づいて来た。
「小柳さん、どういうことなの?このメールの内容は事実なの?」
「違います。私は十条専務に付き纏ったりしていません。」
「さっき、十条専務が来ていたけど…小柳さんとどういう関係なの?知り合い?」
「申し訳ございません…今はなにもお答えできません。皆さんにこれ以上ご迷惑をおかけしないよう私の責任で何とかするつもりです。」
楓は皆に向かって深々と頭を下げた。
すると、なぜか数名の人が楓に向かってパチパチと手を叩いてくれた。
「小柳さん、わからないけど頑張ってね。」
頭を下げたままの楓だったが、目の前が涙で滲んでいた。
悔しいのではなく、自分を信じてくれる人がいることに感謝していたのだった。
理恵子はそっと楓の背中をさすってくれた。
理由は聞かなくても頑張れと応援してくれているように感じた。
純玲の嫌がらせはこの後さらにエスカレートしてくのだった。



