翌日
楓が会社に行こうと家のドアを開けた時。
すると、そこには信じられないほどのごみ袋が積み上げられていた。
そしてごみ袋の一番上には何か書いてある紙が貼ってある。
『十条専務を諦めろ!あんたが恋人になれるわけがない!』
楓はこの文章を見て心が締め付けられる。
それは自分に対しての言葉よりも、この文章から犯人は純玲だと分かってしまったからだ。
けして仲は良くなくても、妹からこのような嫌がらせを受けるとは思いたくなかったのだ。
楓は部屋の前に積み上げられたごみ袋をゴミ集積所へ片付けながら涙を堪えていた。
悔しいというより妹からの仕打ちが悲しかった。
ゴミ袋を全て片付け終えた時、隣の部屋のドアがそっと開けられた。
中から眠そうな顔の男の子がドアの隙間から顔を覗かせた。
「やっぱりこの音だったのか…昨日の夜にドアの前でガタガタと物音がしていたんだ。」
「ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。」
「迷惑じゃないけど、気を付けた方が良いですね。」
男の子はそれだけ言うと、目を擦りながら戸を閉めるのだった。



