クズ彼氏の甘く危険な呪縛


……でも、そんな愚かで、幼稚な願いはレオの冷たい声で跡形もなく砕かれた。


「そんなわけねえだろ」

「お前が好きなのは俺じゃなくて、無条件に愛してくれて、依存できる人間」

「何も考えなくていい、自分に都合のいい存在。それがたまたま俺だけだっただけ。……ハッ、馬鹿みてえ」


レオの言葉が心にナイフのように刺さる。


「ちがう……っ」


小さく否定しても、かき消された。


「……俺がいないと生きていけない、だっけ?……ふざけんなよ」


ほんの一瞬、言葉に詰まった気がした。


「そんなの、嘘だろ。結局……お前が欲しかったのは、誰でもよかったんだよ」


吐き捨てるように言い捨てたレオの顔は、なぜか傷ついていた。それでも私には、どうすることできなくて。


「ごめんなさい……」


無意識に零れた声は、レオが扉を開けて出ていく音にかき消された。


「まって……レオ……!」


慌てて玄関と飛び出すけど、もうどこにもレオの姿はなかった。