いきなり腕を掴まれ、そのままぐっと顔を近づけられる。
微かに匂う知らない香水、首筋のキスマーク、少しだけ赤い唇。
それから目を逸らすように強く目を閉じた。それでも拒むことは、できなかった。
レオがそうしたいなら、私は受け入れる。
それが”正解”だから。
けれどいつまで経っても触れないことを不思議に思って、目を開ける。
レオの瞳は何を考えているか、私にはわからなかった。
唇が触れるか触れないかの距離で、レオは静かに口を開いた。
「……お前、俺のどこが好きなんだよ」
「……え?」
掠れる声で聞き返す私に、もう一度同じ言葉が投げかけられる。
「ぜ、ぜんぶ、すきだよ」
こんなこと聞かれたことがなかった。
だからこれが正解かもわからない。
正解であってほしかった。
