動く気力もなく、ソファに倒れ込む。
レオのいた場所はまだ温かくて、でもどこか冷たかった。
『ごめんなさい』
震える手でメッセージアプリを開いて、そう一言送る。
けど、いつまで経っても既読はつかなかった。
……今日はもう帰って来ないんだろうな。
頭の片隅、冷静な部分がそう考える。
不安に縛られたまま、私は滲む視界を閉じた。
――翌日。目覚ましの音は鳴らなかった。
指先で触れても、スマホは何も応えてくれない。
……電池が切れてる。
たぶん、何度も確認しすぎたから。
夜中、ずっとレオの既読を待ってた。
体を起こして、レオの帰宅を待つ。けれど、朝になっても、昼になっても、夕方になっても……。
レオは帰って来なかった。
時計の針の音だけが、部屋に響いていた。
ドアが開いたのは、空が、部屋が真っ暗になってからだった。反射的に立ち上がって玄関に向かう。
「お、おかえり……」
ぎこちない一言だった。
これ以上間違えたくなかった。
