「……え」
この時間を特別だ、って思ってたの私だけ……だったのかな。
さっきまで、何もいらないって思えるくらい幸せだったのに。
レオがそばにいる、それだけでよかったのに。
──どうして私は、こんなに一人ぼっちみたいな気持ちになってるんだろう。
胸の奥がきゅっと縮こまって、息を吸うだけで苦しかったけど、
気づかれたくなくて、無理やり口角を上げた。
それだけで、頬が少し痛んだ。
「……わかった。いってらっしゃい」
私の顔をじっ、と何かを探るように鋭く見つめるレオ。
次の瞬間、その視線がスッと冷めるのがわかった。
私の“正しさ”を、レオは気に食わなかったのかもしれない。
「……チッ」
低い舌打ちが聞こえ、レオが立ち上がる。
背筋が凍りつく。
どうしよう、私、間違えたかもしれない。
何を?どうして?……どうすればいいかもわからずにただレオの背中が遠ざかっていくをの見ていた。
「……あ」
結局なにもできないまま、私は取り残された。
