ぼんやりと窓の外を眺めていた、昼休み。
突然、視界に影が差す。


「ヨーリちゃん」


覗き込むように、レオくんが立っていた。

昨日と同じ、からかうような笑みを浮かべ、甘い声で名前を呼ばれる。私はゆっくり目線を合わせた。

逸らされることなく、じっと見つめられることに、喜びを感じる。透明人間じゃないんだ、私、レオくんにとって。


「どうしたの?」

「おいで」


私の問いには答えず、そう言って、レオくんは私の腕を取ると、すぐに歩き出した。半分、引きずられるように歩く私を見て口元を緩めた。
そして、するりと、私の指に自分の指を絡めてきた。


周りでクラスメイトが何か言っている。見ている。だけどすべて気にならない。

私には今、レオくんしか目に入らなかった。

絡められた指先は冷たい、けど私の指先は熱くて、体温が混ざっていく感覚に、ゾクリと心が震えた。


「レ、レオくん?どこに行くの?」

「いーから。黙ってついてこい」


レオくんがそう言うのなら、私は逆らえない。それが正しい気がして、私は黙って、足音だけを聞いていた。