クズ彼氏の甘く危険な呪縛

なんて言えばいいのか、悩んで言葉に詰まる。
言葉は胸までせりあがってくるのに、喉がそれを拒んだ。
お母さんの目を見られなかった。
私の決めたことは、きっと間違いだ。でも、止まれなかった。

「ヨリは俺を選んだ」

レオくんが私の手を取って、はっきりと言い放った。

突然割って入ってきた、レオくんにお母さんはびくっと体を震わせた。戸惑ったような視線が下に落ちて、私と合わなくなる。
手を伸ばしかけて、やめる。

「……体、冷えちゃうから中に入ったほうがいいよ」

「ヨリは……どうするの」

「私は……」

私の手に指が絡まってそのまま、ぎゅっと力がこもる。

わかってるよ、大丈夫だよ。

「レオと帰る、かな」

隣から短く笑う声が聞こえた。
釣られて、私の口角もほんのり上がる。