クズ彼氏の甘く危険な呪縛

私は席を立った。
誰にも声をかけず、まっすぐ出口へ向かった。先生が何かを言っていたけれど、もう耳に入ってこなかった。

震える指でスマホを開いて、レオに電話をかける。

1コール……2コール……。

待っている時間が惜しい。
レオもいつもこんな気持ちだったのかな。

3コール目が鳴った瞬間、「……外」と低くて、聞き慣れた声が聞こえてきた。
たった一言、それ以上は言わずにブツッと電話が切れる。

急いで、上履きのまま外へ飛び出す。ただ必死だった。
一刻も早く、レオくんに会いたかった。

外の空気が目に染みた。冷たい風が制服の裾を揺らす。

目の前の校門にレオはいた。
ポケットに手を突っ込んだまま、無表情で、どこか冷めた瞳で立っていた。でも、私が駆け寄ると、ほんの少しだけ口の端が持ち上がる。

「レオ……!」

名前を呼ぶより早く、その体に飛びつくと、小さく舌打ちをして私の背中を撫でた。
抱きしめた体はひんやりとしていて、いつからここにいたのかわからなかった。