そう伝えると、レオくんは不思議そうに首を傾げた。


「家出ねーの?」

「うん……」

「なんで」

「お、お母さんが……心配だから……かな?」

「お前置いて、男のほう行った母親が?」


図星を突かれて、私はただ苦く笑うしかなかった。


「別に、出てもよくね?お前の人生じゃん」

その言葉に、心がざわつく。


「で、でも……私……」

「逃げろよ。そんな家族より、俺のほう見ろ」


レオくんの目を正面から見れなくなる。でも、彼は逸らさせてくれない。


「……いいのかな、私が……」

「俺がいいって言ってる」


ああ、そっか。

なら――それでいいんだ。

ゆっくりと思考を手放す。


「……うん」

「んで、ヨリの家に俺も住む」


やっぱり……。

きっとレオくんは、私のためじゃなくて、自分のために言った。卒業したら行き場がないから。風の噂で聞いた。卒業後レオくんは親と縁を切るらしい。
でも、それでもいい。私を居場所に選んでくれた。それだけで、私はもう十分だった。


「……うん。レオくんがいたら、寂しくないね」

「だろ」


そんな卒業を控えたある日のこと。