クズ彼氏の甘く危険な呪縛

――――――

近くのファーストフード店で適当にハンバーガーやポテトを買って、人気のない小さな公園のベンチに座った。


「ヨリ、ひとくち」


差し出したハンバーガーに大きく齧りつくレオくん。
レオくんは他の男子生徒と比べて、少しだけ小柄だった。細くて、心配だから、たくさん食べてくれたら安心した。


「ポテト」

「うん」

「口拭いて」


ティッシュで唇の端を拭う。いつもより甘えるみたいに命令してくる彼に、私はただただ従う。可愛いと、思った。こんなレオくん珍しい。

食べ終わってからも、レオくんはしばらく空を見上げていた。
その横顔は、普段よりほんの少しだけ――寂しそうに見えた。


「なぁ、卒業したらお前どうすんの」


不意にそう言われて、私は言葉に詰まった。

卒業……。

レオくんはそれが気になっていたのかな。だったら、今日のレオくんの甘えたような行動にも納得がいく。

進路は決めていた。家から少し離れたカフェで働く予定だった。でも、家からは出ない。お母さんがいるから。