ぼんやりと意識が浮上していく。

重たく沈むまぶたの隙間から、微かな光が差していた。ぼやける視界の中で、誰かが、手を握ってくれているのがわかる。

――レオくん……。

まつげがふるふると震えた。薄く開いたまぶたの先、かすむ光の中、確かに彼の姿があった。

……夢みたい、と思った。

優しくなんてしてもらえるわけがないのに。
こんなふうに、手を握ってくれるわけ……ないのに。

現実感が薄いまま、胸がじんわり温かくなる。そのまま私は、安心して、再び眠りの深い底へと沈んでいった。

――――――

次に目を覚ましたときは、ほんの少し頭がはっきりしていた。

あたりを見渡して、ここが保健室ではないことに気づく。

知らない天井じゃない。
一度だけ、ここで目を覚ましたことがある。
甘い匂いも、ベッドの感触も――ちゃんと覚えてる。

レオくんの、部屋。


「……え……?」


どうして。さっきまで学校にいたのに。いつの間に――。

混乱する頭で考えようとしても、まるで水の中でもがくみたいに思考がまとまらない。

そんな中で、がちゃりと扉の開く音。

びくっとして顔を向けた先に、無表情のレオくんが立っていた。
手には、コンビニのビニール袋。袋の底には何本かの飲み物が入っている。

……夢、じゃない……。