レオくんに押し倒されたのは、思いのほかあっけなかった。
何も聞かれなかったし、確認の言葉もなかった。

でも、それでも私は拒まなかった。

レオくんの体温が、息遣いが、指先が、私を満たしていく感覚――。
それを、どこか夢みたいに感じながら、ただ身を委ねた。

――――――

終わったあと、部屋に沈黙が降りた。
カーテンの隙間から覗く、夕日の眩しさに目を瞬かせる。
レオくんの胸の鼓動が背中越しに伝わってきて、それがなんだか、妙に心細かった。

本当は、する前にもっと……レオくんのこと、知りたかったな。

しばらくして、レオくんが無言で体を起こす。
触れていた腕が落ちていくのが妙にゆっくりに見えた。

ベッドの端に腰を掛けたレオくんは、脇に置いてあった箱から煙草を一本取り出し、無造作に火をつけて、ふうっと紫煙を吐いた。

隣に私なんていないように、もうまるで一人きりみたいな顔で。


「……レオくん」

「ん?」


返事はしてくれた、けど目は合わない。
吸った煙草を無造作に灰皿に押し付けながら、レオくんは何も言わなかった。