クズ彼氏の甘く危険な呪縛

「私、帰ってきたのはね……誰かに言われたからじゃないの。
レオを憐れんだからでもない」


言葉を探しながらも、できるだけ丁寧に、ちゃんと伝えたかった。
伝えなきゃいけなかった。


「レオのところに……帰ってきたかったの」


レオは唇を噛みしめて、息を詰めている。
その顔は、怒りでも困惑でもなく、ただ何かをじっと待っているようだった。


「自分で選んだの。私はレオのところにいたくて、帰ってきたの」


その言葉に、彼の肩がピクリと震える。
そして、私は、胸の奥から絞り出すように──けれど、迷いなく言った。


「愛してるよ、レオ」


一瞬、時間が止まったような静寂のなかで、レオの目からぽろりと涙がこぼれた。
次の瞬間には、彼の腕が強く私を抱きしめる。
子どものようにしゃくりあげながら、声を詰まらせながら、それでも懸命に言葉を返す。


「……俺も……ヨリ、愛してる……世界で、いちばん、愛してる……っ」


ぐちゃぐちゃに泣いてる顔が、情けなくて、でも嬉しそうで。
私はそっと、彼の背中に腕を回した。

ようやく心のどこかが、
ずっと冷たかった奥のほうが、
あたたかくなっていくのを感じていた。

──ようやく、辿りついた。私たちの居場所に。