そのときだった。背後から、とろけるような声が落ちた。
「……ヨリ、それって最っ高の愛の告白じゃん」
振り返らなくても、わかる。
レオだ。
彼は私の腰に手を回して、抱き寄せた。
「ざぁんねん。ヨリは、もう俺がいないと生きていけないってさ。お前、用無しなんだよバーカ」
軽く笑いながらも、その声は鋭く刺さってくる。
佐久間くんは何か言いかけたが、もう私たちに視線を向けることすらできなかった。
私はレオの腕の中で、息を荒げながら涙をこぼしながらも身を任せる。
彼のぬくもりが、私を“世界”ごと閉じ込めていく。
そして私は、もう抗わなかった。
そのまま佐久間くんを振り返らず、レオの腕にすくい上げられて、世界から切り離されるようにアパートの扉が閉まった。
