「……やめてよ……」

私は、声を震わせながら言った。

「そんなこと……言わないでよ……」

 

私が泣いていることに気づいたのか、佐久間くんの顔が驚きに変わる。

だけど私は止められなかった。

 

「正しいことばっかり、言わないで……。私は、私はいまさら……救われたり、なんて、したくないの……!」

 

声が震え、感情があふれ出して止まらなくなる。

目の前の彼が優しければ優しいほど、私は、
あの人の歪んだ優しさを、選びたくなってしまう。


「なにが、なにがわかるの……!ずっと愛されたくて……苦しくて、渇いて、死んでしまいそうで……。誰に届かなくて、誰も気づいてくれなくて……!佐久間くんはそんな思いしたことある!?空っぽな心のまま、死んでるように生きて、誰にもすがれない毎日を過ごして……。レオだけだったの!レオだけが私を見つけてくれた!満たしてくれた!私の壊れた心に触れて、愛してるって言ってくれて……!本当に助けてほしかったときに助けてくれたのはレオなの!あなたはいなかったくせに、そんなこと言わないでよ……!私には、レオがいればいい。レオだけが私の救いなんだから……!」


この世界で、私を見つけて、壊して、抱きしめて、
それでも「お前がいないと生きていけない」って泣いたあの人を――私は。


私は……あの人じゃなきゃ、ダメなんだ。