本当に珍しい、レオくんを見かけるのは、いつも昼休みか放課後なのに。
――なにかあったのかな……?
ぼんやりそんなことを考えていたときだった。
ガラッ。
教室のドアが乱暴に開く音。
一瞬で空気が変わった。張り詰めて、誰もが動けなくなる。
私は、反射的に顔を上げる。
髪も制服もずぶ濡れで、ぽた、ぽたと雫を垂らしながら、いつものパーカーも着ていないレオくんが立っていた。
気怠そうに顔を上げて、私たちの姿を瞳に映すと、ゆっくりと唇が笑みを作った。それなのに目は笑っていない。一目で機嫌が悪いのがわかった。
ぞくりと背中を嫌な汗が伝った。
レオくんが歩いてくる。無言で。
教室の中が、音を失ったように静かになる。
道をふさぐ机は、容赦なく蹴り飛ばされた。
私も彼も、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
「え?え、な、なんでっ」
突然髪を鷲掴みにされた彼が、戸惑いながら声を上げた。
止めようと、立ち上がる――けど遅かった。
レオくんはそのまま、躊躇いもなく彼を机に叩きつけた。
鈍い音と一緒に、赤い血が、机の上を汚す。
「ひ……っ」
か細い声が、喉の奥から漏れた。
――なにかあったのかな……?
ぼんやりそんなことを考えていたときだった。
ガラッ。
教室のドアが乱暴に開く音。
一瞬で空気が変わった。張り詰めて、誰もが動けなくなる。
私は、反射的に顔を上げる。
髪も制服もずぶ濡れで、ぽた、ぽたと雫を垂らしながら、いつものパーカーも着ていないレオくんが立っていた。
気怠そうに顔を上げて、私たちの姿を瞳に映すと、ゆっくりと唇が笑みを作った。それなのに目は笑っていない。一目で機嫌が悪いのがわかった。
ぞくりと背中を嫌な汗が伝った。
レオくんが歩いてくる。無言で。
教室の中が、音を失ったように静かになる。
道をふさぐ机は、容赦なく蹴り飛ばされた。
私も彼も、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
「え?え、な、なんでっ」
突然髪を鷲掴みにされた彼が、戸惑いながら声を上げた。
止めようと、立ち上がる――けど遅かった。
レオくんはそのまま、躊躇いもなく彼を机に叩きつけた。
鈍い音と一緒に、赤い血が、机の上を汚す。
「ひ……っ」
か細い声が、喉の奥から漏れた。
