そしてスマホを取り出し、私に突き付けた。
「俺、たくさん連絡したのに、なんで返さねーんだよ」
「ご、ごめっ。ちが、きょ、今日忙しくて!」
「つーかいつまで引っ付いてんだよ」
反射的に佐久間くんを突き飛ばすようにして、離れる。私を見る佐久間くんの顔は困惑に満ちていた。
「お前、俺を捨ててこいつのとこ行くの?」
「俺以外じゃ満足できないくせに?」
「愛してるって、俺に依存してるくせに?」
「お前のこと愛せるの、俺だけなのに?」
彼の手が私の手を掴む。強く、痛いくらいに。
「なぁ。なあなあなあ!なんか言えよ!?俺がいなきゃとっくに壊れてたお前を誰がほかに愛してくれんだよ!お前、ひとりになったら、死にそうな顔してるくせに……!……俺が救ってやったのに、裏切りなんか、許さねーからな」
その言葉が突き刺さる。
頭じゃ間違ってるってわかっているのに、心がそれを否定しきれない。
——レオの言葉どおり、私にはこの人がいないと、生きられない。
「……やめてください……っ」
佐久間くんの声が割って入ったけど、もう聞こえてなかった。
レオに腕を引かれて、私は無抵抗に歩き出した。
何一つ反抗できなかったことが、情けなくて、苦しくて、でも……心の底で、どこか、安心していた。
私は————この人にしか、抱きしめてもらえない……レオがいないと、生きていくことすらできないんだ。
