「……っ!」
心臓がバクバクと音を立てる。
嫌な予感に冷や汗が背中を伝う。
急いで電話を返そうとしたとき、佐久間くんが帰ってきた。
「お待たせしました!……って顔色悪くない、ですか?」
思わずスマホを見られないように胸に抱く。
「だ、大丈夫です。あの、ごめんなさい……っ、私やっぱり先に帰ります!」
「え、ま、待って!」
逃げるように走って、外に出たと同時に佐久間くんが追い付き、私の手を掴んだ。
「俺なにかしちゃいましたか……っ」
「ち、ちがっ、お願い離してください!」
こんなところを、もし、彼に見られたら……!
あの時の彼の錯乱ぶりを思い出して、必死に掴まれた手を振りはらう。
「ヨリさん、落ち着いて!!」
グイッと手を引かれ、向き合うように抱き留められて……
