「ヨリ、ヨリ……。今日も仕事行くの?」


あれから数日、完全とは言えないけど、私たちの関係は戻っていた。

……ううん、レオの態度だけが違っていた。
前みたいに怒鳴ることも、わざと泣かされることがなくなった。

その代わり、砂糖菓子のような甘い言葉をかけるようになり、「愛してる」の数が増えて、私のそばを離れなくなった。

今だって、仕事の準備をしている私の背後から抱き着き、首筋に甘えるように唇を寄せている。


「……う、ん。今、人手が足りないから、行かなきゃ」

「ふぅん……。俺がそばにいてって言っても?」

「……ごめん、なさい」


ぞわり、前みたく怒鳴られるのではないかという恐怖が、背筋を這った。


「んー、わかった。じゃあ迎えに行く。俺のこと考えて待ってて」

「……え、あ、うん」


それなのに返ってきたのは、拍子抜けするほど甘ったるい声。
気が抜けた私の唇に触れるだけのキスをしてレオは


「いってらっしゃいのちゅー」


と笑った。