クズ彼氏の甘く危険な呪縛


「……どうして、ここに……?」


言いながら、自分の声が掠れていることに気づいた。
喉の奥がきゅっと詰まる。胸の奥が熱くなる。


「どうして、って……なんでだろ……」


足元を見ながら、ぽつりと零すように言った。


「……気づいたら、ここ、帰ってきてた……ヨリに会えるって、思って……」


なにか、おかしい。会話をしているのに、噛み合わない。
それに、この人は本当にレオなの?

まるで私を怖がらせないように。気を遣っているなんて素振り。

冷たい風が吹いて、足先がじんじんと痛む。
レオも肩を震わせるけど、そんなことは関係ないかのように私の様子をうかがっていた。


「……とりあえず、中に入って。……寒いでしょ……」


口を突いて出たその言葉が、自分でも驚くほど優しさを含んでいた。

レオは、ただ、笑った。