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合宿当日__

駅前に集合したサークルメンバーたちが
わいわいと集まっていた

「紬ちゃん、おはよう」

樹先輩が自然に隣に立つ

「おはようございます」

少しだけ緊張してたけど
樹先輩の声を聞くとホッとする自分がいた

「荷物、重くない?」

「だ、大丈夫です」

「なら良かった」

ふわっと微笑む横顔が眩しい

バスに乗り込んで出発すると
自然と樹先輩の隣の席に座ってた

「海、楽しみだね」

「はい…!すごく楽しみです」

「星も綺麗だし、夜は恒例の肝試しもあるし…」

「……肝試しは、ちょっとだけ不安ですけど…」

「うん、だから俺が隣にいるよ」

その優しい声がまた胸をくすぐった

バスの窓から見える景色が流れていく中

わたしはなんとなく
樹先輩の隣にいるこの時間が心地よかった

……ここ最近、こういう瞬間が増えてきた気がする

最初はただ優しい先輩だったのに

最近は__なんでこんなにドキドキするのかわからなくなることが増えてきた

目的地に着くと
海の匂いがふわっと広がってきた

「わぁ…!」

思わず声が漏れる

「いい反応だね」

樹先輩がふっと笑う

「ほら、写真撮っときなよ」

「えっ…あ…じゃあ…」

スマホを構えて写真を撮る

隣からそっと覗き込んでくる樹先輩の顔が
画面に一緒に映り込んでドキッとする

「……思い出だね」

「……はい…」

心臓の音がまた静かに速くなるのがわかった__

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