双つの恋、選んだのは君だった


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朝の通学路、人の多い駅のホーム

ふと、頭が少しぼーっとした

(……あれ…)

目の前が少し揺れた瞬間――

「おい」

低い声とともに
響の腕がわたしの肩を支えた

「お前、大丈夫か?」

「……だ、だいじょ……」

「嘘つくな」

響は静かに眉を寄せたまま、ゆっくりホームの柱まで誘導してくれる

「ほら、深呼吸しろ」

優しい声だった

(…普段は意地悪なくせに…)

胸がまた静かにざわつく

「昨日からちょっと無理してただろ」

「……そんな…」

「俺は――お前のこういうとこ、放っとけねぇんだよ」

ドクン――

耳の奥に低く響くその声に
また心臓が跳ねていった__

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