ーーーー
昼休み、学食の中――
偶然、兄と響がふたりともそこにいた
「紬ちゃん、こっちおいで」
優しく微笑む樹先輩の隣に座ると、響も自然に向かい側に座る
3人揃うのは、なんだか久しぶりだった
「大丈夫?」
樹先輩が穏やかに声をかけてくれる
「……大丈夫です」
「兄貴こいつのこと心配しすぎなんだよ」
響がふっと苦笑する
その空気がなんとなく張り詰める
響がわたしに目を向けた
「お前さ」
低く静かな声だった
「…兄貴といるときと、俺といるとき」
ドクン――
「どっちのときの顔が”素”なんだ?」
「え…」
響のその真っ直ぐな目線に息が詰まった
すぐ隣では、樹先輩が少しだけ困ったように微笑んでいた
「響、あんまり紬ちゃん困らせるなよ」
「困らせてねぇよ」
響がまっすぐ私を見たまま続ける
「お前さ、自分の気持ちに素直に向き合って
もう少しはっきりさせろよ」
ドクン――
(私……)
兄の優しさも
響の意地悪さも
全部が積み重なって
この瞬間――少しだけ心が偏りそうになった
(私…たぶん――)
でも――その続きは
喉元で言葉にならずに止まっていた__
――――
昼休み、学食の中――
偶然、兄と響がふたりともそこにいた
「紬ちゃん、こっちおいで」
優しく微笑む樹先輩の隣に座ると、響も自然に向かい側に座る
3人揃うのは、なんだか久しぶりだった
「大丈夫?」
樹先輩が穏やかに声をかけてくれる
「……大丈夫です」
「兄貴こいつのこと心配しすぎなんだよ」
響がふっと苦笑する
その空気がなんとなく張り詰める
響がわたしに目を向けた
「お前さ」
低く静かな声だった
「…兄貴といるときと、俺といるとき」
ドクン――
「どっちのときの顔が”素”なんだ?」
「え…」
響のその真っ直ぐな目線に息が詰まった
すぐ隣では、樹先輩が少しだけ困ったように微笑んでいた
「響、あんまり紬ちゃん困らせるなよ」
「困らせてねぇよ」
響がまっすぐ私を見たまま続ける
「お前さ、自分の気持ちに素直に向き合って
もう少しはっきりさせろよ」
ドクン――
(私……)
兄の優しさも
響の意地悪さも
全部が積み重なって
この瞬間――少しだけ心が偏りそうになった
(私…たぶん――)
でも――その続きは
喉元で言葉にならずに止まっていた__
――――



