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助けてもらった翌日――
講義が終わったあと、校舎の裏手で響が待っていた
「お前、昨日――危なかったな」
「……うん…」
「怖かっただろ」
「……うん…ほんとに、ちょっと…」
わたしがうなずくと
響は少しだけ息をついた
「無理すんな」
その声がいつもより低くて、優しかった
しばらく沈黙が流れたあと――
「…けどさ」
響がゆっくりわたしの方に顔を向けた
「昨日のお前の顔…ズルかったな」
「え…?」
「怖がって、目潤ませて
助けてほしそうにこっち見て――」
ドクン――!!
「……あんな顔されたら」
ふっと距離を詰めながら響が続ける
「放っとけるわけねぇだろ」
その低い声に
また心臓が跳ねた
「……意地悪…」
小さく呟くと、響がふっと笑った
「俺は優しいつもりだけど?」
響のその声も、距離も
わたしの胸をまた静かにかき乱していった__
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