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朝――

いつもの通り駅から大学まで歩いていた途中

ふいに前方から二人組の男に声をかけられた

「ねぇお姉さん、ちょっとだけ時間いい?」

(……え?)

「駅まで送るよ、お姉さん可愛いから危ないじゃん?」

ぐっと距離を詰められて、息が詰まった

「い、いえ…すぐ近くなので…」

断ろうとしても腕を掴まれた瞬間――

(……こわい…)

「ちょっとくらい付き合ってよ?」

「や、やめて…」

声が震えた

「たすけて…」

その瞬間だった



「――離せ」

低く鋭い声が響いた

振り返ると、そこに立っていたのは響だった

「は?誰だよてめぇ」

「聞こえたろ?今すぐ手、離せ」

響は一歩前に出たまま目線を一切逸らさない

「人の女に手ぇ出してんじゃねぇよ」

一瞬にして空気が張り詰めた

男たちは顔を引きつらせたまま、慌てて手を離して去っていった

残されたわたしは
まだ心臓がバクバクしてた

「おい…」

響がこちらを覗き込む

「……大丈夫か?」

ドクン――

優しく肩に手を置かれたその瞬間、また胸が跳ねた

「……う、うん…ありがとう…」

「ほんと、無防備すぎ」

苦笑しながらも
響の声はいつもより低く静かだった

(……なんで…普段あんな意地悪なのに…)

そのギャップに
また胸がざわついていた__

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