双つの恋、選んだのは君だった

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講義が終わった放課後――

校舎を出ようとしたとき

「お前、帰るタイミング俺と被ること多くね?」

後ろから響が声をかけてきた

「そ、そうですか…?」

自然と並んで歩き出す


響は横目でちらりとわたしを見た

「兄貴とは?最近どう?」

ドクン――

いきなり核心を突かれて息が詰まる

「……えっと…」

答えに詰まるわたしを見て、響が口元を歪める

「告白されてから――結構時間経ってんのに、返事まだ?」

「……」

「悩むくらいなら、俺が答え決めてやろうか?」

ドクン――!!

響の声が低く、少しだけ近づく

「……な、なに言って…」

「兄貴に返事する前に、俺のことも一度くらい考えてくれて良くね?」

「……それってどういう…」

「お前だって少しくらい…俺に揺れてんだろ?」

その目が真っ直ぐ覗き込んでくる

(……わたしは…でも…)

胸の中がまた静かにざわつき始めていた__

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