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翌日、昼休みの学食――
樹先輩とたまたま席が取れて
二人で並んで昼ご飯を食べていた
「紬ちゃん、今度の休日もし良かったら少し出かけない?」
ドクン――
急にそんな誘いを受けて
胸が跳ねる
「えっ…!」
「無理にとは言わないけど。
たまには学外でもゆっくり話したいなと思って」
「……わ、私も…ぜひ…!」
顔が自然と熱くなる
(先輩とふたりきりでお出かけ…)
ドキドキしてたその時だった
「へぇ、兄貴…やるな」
ふいに後ろから低い声が聞こえた
振り返ると、響がいつの間にか後ろに立っていた
「響…」
「学食でも紬ちゃん独占して
今度はデートの約束?」
意地悪そうに口元を歪める響
「邪魔するつもりはないけどさ」
樹先輩は苦笑して返した
「響、そんな言い方やめろって」
「俺は素直に感想言ってるだけだけど?」
わざと紬の顔を覗き込む響の視線にまた心臓が跳ねた
「……ご、ごはん冷めますよ?」
わたしは誤魔化すように箸を動かしたけど
(……また意地悪…)
でも、その視線も言葉も
どうしてこんなにドキドキしてしまうんだろう…と自分でもわからなくなる
響の低い声がもう一度囁くように続いた
「俺のこともちゃんと見ろよ」
ドクン――
耳元で囁かれたその声に
また心臓が大きく跳ねたまま何も言えなかった__
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