それから5日後のことだった。
その日は珍しく、恵真と大和は福岡往復の便を一緒に担当することになっていた。
「恵真と一緒に飛ぶなんて、いつ以来だ?」
「さあ、もう思い出せません」
「だよな。あー、俺、今日はかなり浮かれてる」
「キャプテン、仕事中ですよ?」
翼と舞を保育園に送り届けたあと、恵真は大和と肩を並べてShow Up(出社)し、出社確認表にサインする。
「あら? 珍しいですね。夫婦フライトですか?」
顔なじみのディスパッチャーの女性が、フライトプランを差し出しながら笑いかけてきた。
「そうなんですよ、久しぶりに」
「ふふっ、キャプテン嬉しそう。でもあいにくの空模様なんです」
「なんのこれしき。お任せください」
得意げに胸をそらす大和に構わず、恵真はフライトプランに目を走らせる。
いつもは機長よりも1時間ほど早く来て情報の確認や準備をしておく恵真だったが、今日は大和と一緒に出社した為、一人の時間が取れなかった。
その分、集中してパソコンに向かう。
(復路の羽田で空がかなり荒れるかも……)
雨と風はそれほどでもないが、雷が予想されていた。
(今の時点ではなんとも言えないわね。とにかくまずは往路をしっかり飛ぶこと)
頭の中で飛行ルートや高度、燃料などの情報を整理すると、大和と一緒にブリーフィングを行う。
「よし、じゃあシップに向かうか」
「はい」
フライトバッグを引きながらオフィスを出ると、ちょうど野中と伊沢が同じように並んで歩いて来るのが見えた。
「おっ? 佐倉と藤崎ちゃん、仲良くお揃いで。珍しいな。もしかして夫婦で飛ぶのか?」
「よくぞ聞いてくれました、野中さん。そうなんですよ」
大和はまたもやご満悦で答える。
「これから天気荒れるみたいだぞ。まあ、二人なら平気だろうけどさ」
野中の言葉に、横にいる伊沢も頷いた。
「この二人なら最強ですよ。パイロットの腕前も、愛のパワーも」
伊沢くん!と、恵真は小声で諌める。
だが大和は真面目な顔で口を開いた。
「おっしゃる通り。お客様にはベストフライトをお約束し、必ずや快適な空の旅を……」
「あの、それではそろそろ失礼します。キャプテン、行きますよ」
大和を遮り、恵真は強引に背中を押して歩き始めた。
その日は珍しく、恵真と大和は福岡往復の便を一緒に担当することになっていた。
「恵真と一緒に飛ぶなんて、いつ以来だ?」
「さあ、もう思い出せません」
「だよな。あー、俺、今日はかなり浮かれてる」
「キャプテン、仕事中ですよ?」
翼と舞を保育園に送り届けたあと、恵真は大和と肩を並べてShow Up(出社)し、出社確認表にサインする。
「あら? 珍しいですね。夫婦フライトですか?」
顔なじみのディスパッチャーの女性が、フライトプランを差し出しながら笑いかけてきた。
「そうなんですよ、久しぶりに」
「ふふっ、キャプテン嬉しそう。でもあいにくの空模様なんです」
「なんのこれしき。お任せください」
得意げに胸をそらす大和に構わず、恵真はフライトプランに目を走らせる。
いつもは機長よりも1時間ほど早く来て情報の確認や準備をしておく恵真だったが、今日は大和と一緒に出社した為、一人の時間が取れなかった。
その分、集中してパソコンに向かう。
(復路の羽田で空がかなり荒れるかも……)
雨と風はそれほどでもないが、雷が予想されていた。
(今の時点ではなんとも言えないわね。とにかくまずは往路をしっかり飛ぶこと)
頭の中で飛行ルートや高度、燃料などの情報を整理すると、大和と一緒にブリーフィングを行う。
「よし、じゃあシップに向かうか」
「はい」
フライトバッグを引きながらオフィスを出ると、ちょうど野中と伊沢が同じように並んで歩いて来るのが見えた。
「おっ? 佐倉と藤崎ちゃん、仲良くお揃いで。珍しいな。もしかして夫婦で飛ぶのか?」
「よくぞ聞いてくれました、野中さん。そうなんですよ」
大和はまたもやご満悦で答える。
「これから天気荒れるみたいだぞ。まあ、二人なら平気だろうけどさ」
野中の言葉に、横にいる伊沢も頷いた。
「この二人なら最強ですよ。パイロットの腕前も、愛のパワーも」
伊沢くん!と、恵真は小声で諌める。
だが大和は真面目な顔で口を開いた。
「おっしゃる通り。お客様にはベストフライトをお約束し、必ずや快適な空の旅を……」
「あの、それではそろそろ失礼します。キャプテン、行きますよ」
大和を遮り、恵真は強引に背中を押して歩き始めた。



