報復を最愛の君と

次に目を開けた時に目の前にいたのは、ミルクティー色の髪をした女の子。


キラキラとした黄色い瞳、きれいな顔立ち。


「クラ…?」


姿は全く違うのに、クラだと認識できた。


彼女がきていたのは服は少しボロくなった茶色いワンピース。


昔の服だろうか。


「ヒメア様、心より感謝申し上げます。本当に、本当にありがとうございます…」


深々と頭を下げたクラの背中をさすった。


「ううん。いいんだよ、気にしなくて。ちょっと待ってね、今服を一着出すね」


「は、はい。ありがとうございます!」


私は持ってきたカバンの中に入っていた黒いワンピースをあげた。


意外と動くやすくて気に入ってた服。


まあ、あんまり着る機会なさそうだしあげちゃおう。


「これ着れるかな?って、あらら。そんなに泣かないで〜。ねっ?」


「うう…は、い…」


きっと人間に戻れて嬉しいんだと思う。


私も人間になれるようになって、とても嬉しかったもの。


あの頃の私と同じ。


***


「服、ありがとうございました。それと、取り乱してしまってすみません…」


「大丈夫だよ。それじゃあ、そろそろフロス国に向かおう」


私達は荷物を持って立ち上がった。


次にイコロ国に戻ってくるのは、復讐を終える日だ。


それまで母国とはお別れ。


「“聖なる海よ。人魚に力をかしたまえ”」


その言葉に反応して海が盛り上がり、大きな音を立てて完成したのは水でできた船。


透けていて、なんだか神秘的。


「さあ乗って。私が船を操るから、乗っても溺れないよ」


「おお!さすが姫様です!」


「きれいですね」


そんなことを言いながらソラとスイ、ルナは船に乗った。


それから、私はクラに手を差し出す。


「行こうクラ」


「…っ、はい!」


クラは私の手をとってくれた。


それから2時間ほど経って、フロス国の海岸へついた。


船をもとの海水に戻しておく。


それから、あたりを見まわした。


活気あふれる街並みからは、能力者差別なんてないあたたかい街だと分かる。


明らかに人間ではない見た目をしている人でも、自然に生活をしている様子が見られる。


これがフロス国。


「素晴らしいですね…。こんな場所が存在するなんて」


「そうだね」


クラも感動してるみたい。


能力者差別をする場所で育ったからこその気持ちだろう。


「とりあえず、宿に荷物を預けましょうか。このままじゃ疲れちゃいますよ…」


「そうですね。宿を探すついでに、街もまわりましょうか」


スイのその言葉に、私達は大きく頷いた。


それから見た街は本当に素晴らしいものだった。


まさに私が憧れていた景色そのもの。


「お、こことかいいんじゃないですか?」


スイがそう指差した場所は、比較的値段も安くて雰囲気のいい宿だった。


たしかにここがいいかも。


「私もここがいい!」


「ヒメアが言うなら、俺も賛成」


「私もです!」


「えっと…私も」


満場一致で宿が決まった。


そしてスイとルナは受付をして部屋に荷物を置いてくると言って、行ってしまった。


「残されちゃったね」


「そうだなぁ。あ、俺あそこのパン食べたい。買ってきていい?」


ソラがそう言ったパン屋からは、とても美味しそうな匂いが漂ってきていた。


私はコクっと頷いた。