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私は人間主義国であるイコロ国に生まれた、ヒメア・イコロという名の姫だ。
銀色の髪に桃色の瞳、くっきりした二重に少し幼い顔立ち。
年齢は13歳で、王立イコロ学園中等部に通っている。
なぜか母親にも父親にも似ていない、この容姿を嬉しく思う。
なぜなら、私は人魚として生まれてしまったから。
希少な治癒能力を持つ人魚ということで、私は生かされているけれど呪いとして扱われるなら、死んでしまえばよかったと思う。
ドンッ!
考え事をしていたせいで、角を曲がってきた使用人に気がつかなかった。
勢いよくぶつかってしまったので、私は倒れてしまった。
「すみません!って…ヒメア様じゃないですか。ああ、汚い!!呪いがうつってしまうわ!」
そう言って、とても嫌そうに顔をゆがめた。
その態度にも動じず、私は使用人を見下ろした。
「姫にぶつかっておいて謝りもしないとは、ひどい使用人ね。さっさと消えなさい」
名前も分からぬその使用人に、ひどい言葉を言った。
自覚はあった、だって意図的にやっていたから。


