報復を最愛の君と

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ついにこの時間がきた。


といっても、そんなにたいそうなことじゃないんだけどね。


今は昼休み。


昨日ソラに言われたように、秘密の温室に来た。


今日はここで昼食をとりながら作戦会議だ。


まあ、今の私はそんなにいい気分じゃないけど。


復讐ができるのはいいとして、あの真実を知ってからはカナタと今まで通りに接することができずにいる。


今まであんなに仲がよかったから、少し悲しくもある。


「やあヒメア!もう来てたんだね」


「ソラ!」


いつのまにか後ろにはソラとその執事のトモキさん…あと、その後ろに見たことがない男の人がひとり。


はて、一体誰だろうか。


明るい茶色の髪はきれいで見惚れてしまうくらいで、顔もすごくかっこいいと思う。


でも、こんな人は学園内にいない。


制服も着ていないし…。


「ごめんね、紹介が遅くなった。彼はスイ・ネクサス、俺の従者なんだ。ちなみに、スイのお母様はこの学園の教師だよ」


「そ、そうなの!?」


突然そんなすごいことを言うものだから、びっくりして声をあげてしまった。


このイコロ学園の教師になるには、超難関と言われている試験を受けなければならない。


そんなすごい人の息子さんだなんて…。


「ええと、私は…」


さすがに名乗らないのは失礼かと思い、自分も自己紹介しようと思うがここで疑問が出てきた。


彼に私がイコロ国の姫であると伝えていいのか、という疑問が。


迷ってオロオロした私を見て、スイ様は笑った。


「あはは、面白いねヒメアちゃん」っ


「っ…!?」


突然の笑顔の破壊力がやばい。


それに今、“ヒメアちゃん”って言った?


私今、口に出してた?


そんな私の感情を読み取ったように、スイ様はまた笑った。


「ソラに教えてもらったんだ。僕達共犯者でしょ?お互いの秘密くらい知ってても大丈夫でしょー」


スイ様はすごく明るくて、太陽みたいな方だった。


すごく親しみやすくて助かる。


「そう…ですね!私はイコロ国の姫、ヒメア・イコロといいます。スイ様、よろしくお願いしますね」


「敬語はなくていいよー。あと、様呼びも禁止!」


少し怒った様子を見せるスイ様…じゃなくてスイがかわいく見えて、私はくすくすと笑った。


それを見て、スイの表情がぱあっと明るくなる。


「笑った〜。かわいいね」


「へっ?」


「スイ、あまりヒメアをいじめるなよ。俺のなんだぞ」


「ふーん。ソラがそんなこと言うなんて珍しいじゃん」


私は恥ずかしくて赤くなることしかできない。


ふたりともなんていう会話をしているんだか…。


トモキさんもやれやれといった表情で、ふたりを見ていた。


「おっと、ごめんよ。さあ、中に入って作戦会議を始めよう」


「う、うん」


切り替えが早すぎて驚いた。


そんなソラの姿にスイはクスッと笑って、私の手をとった。


「行きましょうか。あなたの復讐のために」


私はその言葉で、肩に力が入った。


復讐のため。


そうだ、これから私の復讐の物語は幕を開ける。